喜びの彼方

三年後、三年前を振り返り、微笑む私。

故郷

故郷のことを考える。

自分は故郷に暮らし続けている。土地には生きるために必要なものが存在する。死なないからには理由がある。

東京からトラックに載った段ボール、仕事帰りの母親がペットボトルをカゴに入れて、野口英世が今日も気だるそうに返事する女子高校生の給料として循環していく。

母親は僕に唐揚げを作り、僕は椅子に寝転んでポテチを食う。テレビに映るバラエティ番組はミュート。

十年前の同級生と十年間話していないけれども、大体は同じ土地から電車に乗り、働き始めている。

いつからそうなったのか無人駅、同じ時間帯に降りてくる男たちの発展性の会話。自分たちが今どこにいるのか毎日女子も男子も会話する。

伏し目がちに僕を見つめるおじさん。手を汚し腰を痛め愚痴を言うおばあさん。罵詈雑言に殴られ泣きながら離れない妻。酒を飲み車を飛ばし寝込むお父さん。

誰にもほんとうのことを言わず実は大学を辞めた兄。名前すら忘れられても終電電車で登り坂を白い息。

芯を外れてスイングしかできない大根中学生。くだらないギャグを飛ばすおじさん先生。音符を教えない音楽教師。

川に生ごみをほかすおばさん。ニタニタとネジの外れた表情で、車から降りないお爺さん。

なにかを思うことは難しくない。結局は僕の問題。